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次世代皇族に期待も 天皇陛下「生前退位」 驚き・賛同 さまざま 高齢への気遣い目立つ 

 天皇陛下が「生前退位」の意向を関係者に示されていることが分かった13日夜、皇太子時代を含めて通算10回の訪問を受けた広島市では驚きが広がった。市民からは高齢の陛下への気遣いや、新時代の皇室の在り方への意見も聞こえた。

 即位後初めて1995年5月に原爆資料館(中区)を視察された陛下を案内した当時の館長で被爆者の原田浩さん(76)=安佐南区=は「『あなたはどうでしたか』と尋ねられ、被爆体験に耳を傾けていただいた」と振り返る。96年10月には皇太子ご夫妻も案内した。「陛下はご高齢。お体のことを考えないといけないのだろうか」と思いを巡らせた。

 2014年12月に陛下の訪問を受けた広島土砂災害の被災地、広島市安佐南区の佐東公民館。陛下と言葉を交わした三上敏司館長(65)は「優しい人柄で心配してくださった。陛下の思いを次世代の皇族も引き継いでほしい」と期待した。

 「昭和天皇の時にも生前退位の仕組みがあれば、もっと健康で長生きされたのでは」と話すのは安佐南区の会社員村上博さん(63)。南区の無職男性(79)も「皇太子さまへの公務の引き継ぎもスムーズにできる。現代的な考え方でいい判断」と受け止める。

 マツダスタジアム(南区)で野球観戦中に一報を知ったパート従業員中村明義さん(67)=福山市=は「陛下は平和の象徴でもある。常に元気な姿でいてほしい」。中区の会社員男性(62)は「女性天皇の問題も含めて議論が深まればいい」と時代に対応した皇室の変化に期待した。

 若い世代にも驚きは広がる。広島県府中町の大学3年加賀谷碧さん(20)は「びっくりした。平成生まれなので、元号が変わる経験がない。新元号はどう決まるのでしょうか」。市中心部を帰宅中の会社員半沢静さん(27)=中区=は「一つの時代が変わるのは不思議な感じ」と受け止めた。

(2016年7月14日朝刊掲載)

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