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商議所ビル計画再始動 広島 深山会頭 検討を表明 既に複数の候補地

 広島商工会議所の深山英樹会頭は13日、広島市南区であった議員総会で、老朽化した中区基町の商議所ビルの建て替え・移転について「本格的な検討を開始したい」と表明した。現在地での建て替えのほか、移転先として隣接する旧市民球場跡地、市営基町駐車場・駐輪場(中区)、宇品地区(南区)など複数の選択肢が浮上している。(境信重、岡田浩平)

 深山会頭は約60人の議員を前に、旧市民球場跡地の活用策が検討されるのに合わせて、新たなビルを検討する方針を示した。

 総会後の取材で深山会頭は「完成から約51年。できる検討は今のうちにしておきたい」と説明。選択肢は、現在地での建て替え▽球場跡地への移転▽跡地以外への移転―の大きく三つがあるという。ただ現在地での建て替えは、原爆ドーム周辺の高さ制限があるため、規模を維持しにくい。

 関係者によると、跡地以外では、市営基町駐車場・駐輪場や宇品地区などが候補に挙がっているという。これまでに二葉の里地区(東区)や千田地区(中区)も検討された。

 これまで商議所は「広島市から移転の要請を受けてから是非を含めて検討する」との考え方を示してきた。市の要請はまだなく、自発的な姿勢を強める。

 松井一実市長は、6月の中国新聞のインタビューで「市と商議所が協力して良い建物を造るのにどうすればよいかを話したい」と表明。非公式ながら、深山会頭に考えを伝えたという。

 商議所は2010年、市が球場跡地の利用を検討する中で、跡地の一部に新ビルを建てる案を発表。松井市長が跡地利用の計画を見直したことを受けて、計画は頓挫した。任期が10月末に迫る深山会頭は、懸案の問題に道筋を付けたい思いを強めているとみられる。

<広島商工会議所ビルの建て替え・移転を巡る動き>

1965年10月 現在のビルが完成
2006年 1月 所内の都市機能強化委員会が、ビル移転を含む球場跡地の整          備構想を発表
  09年 1月 広島市が球場跡地の利用計画を決定。ビルを跡地の東側に移          す構想を示した
  10年 9月 商議所が13年春の移転を目指す新ビル案を発表。財源の一          部を市の補助金で賄う考えを示した。費用の自己負担を前提          とする市側と認識の食い違いが表面化
     12月 深山英樹会頭が就任
  11年 4月 球場跡地利用の計画見直しを掲げる松井一実市長が就任
      5月 商議所が新ビル計画の延期を発表
  13年 3月 市が球場跡地の活用方針を発表。ビル周辺を「水辺エリア」          とした
      6月 市中心部へのサッカースタジアム建設に向け、有識者の検討          協議会が発足。跡地活用の議論が棚上げに
  15年 7月 広島県、市、商議所のトップ会談で、スタジアム建設地は球          場跡地に比べ広島みなと公園(南区)が「優位」と判断
  16年 3月 サンフレッチェ広島が球場跡地へのスタジアム建設案を発          表。商議所ビルには触れず
      5月 サンフレがスタジアム建設案の補足点を説明。商議所ビル移          転は必要にならないとの認識を示した

(2016年7月14日朝刊掲載)

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