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島根原発再稼働

立地の鹿島 早期望む 隣接の島根 慎重姿勢 松江
 
地域協議会で反応に差

 中国電力島根原発(松江市鹿島町)で停止中の1、2号機の再稼働をめぐり、地元住民の対応が割れている。27日に松江市が同市鹿島町と島根町で住民向けに開いた地域協議会では「お膝元」の鹿島町から早期稼働を望む声が続出。一方、合併前の隣接町に当たる島根町民は慎重姿勢を示し、交付金が集中投資されてきた旧立地町とのスタンスの差が際立った。(樋口浩二、川上裕)

 「原発への批判が高まっている中、われわれは肩身の狭い思いをしている」。鹿島地域協議会の青山善太郎会長(74)はこう表現し、原発推進の立場を鮮明にした。

 自治会長や公民館長たち18人の委員からは「原発を止めていても鹿島町に良いことはない」「夏の電力需給が足りないなら(稼働させて)協力したい」との声も出た。

 一方の島根町。「放射性物質が外部に漏れるのは困る」。事故の際、水素爆発を防ぐために中電が講じるベント(排気)について、島根地域協議会の小川勲会長(69)は反発。漏れを未然に防ぐ建屋の改修が必要と訴えた。

 協議会後、小川会長は「福島であれだけの事故が起きた。稼働より、考え得る対策を尽くす時だ」と話した。

 松江市は2012年度、原発立地に伴う交付金約25億円のうち、3割近くの約7億円を鹿島町の市道改良工事や小学校の耐震補強に充てている。

(2012年4月29日朝刊掲載)

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