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戦時徴用船の悲劇描く 広島市中区で絵画展 証言基に沈没する姿

 戦時中、軍に徴用された大型商船の最期を描いた絵画展が15日、広島市中区の県民文化センターで始まった。画家大久保一郎さん(1976年に86歳で死去)の作品を集め、日本殉職船員顕彰会(東京)が開いた。21日まで。無料。

 軍需物資や兵員を運んだ民間の旅客船、貨物船が沈没する姿を描いた油絵37点。大阪商船(現商船三井)の嘱託画家だった大久保さんは生還者の証言を基に、沈む甲板で万歳する船長や波間を漂流する船員も写実的に描く。

 戦時下の海で後方支援を担い、民間人が多く犠牲になった史実を伝えようと同会が各地で開く。県内では85年以来、2回目。

 同会によると、戦没した民間人船員は6万643人。県出身者は3428人で、鹿児島県に次いで2番目に多い。タンカー乗組員の経験がある中区の会社員西本孝行さん(60)は「海や船が好きで船乗りになった民間人がこんな目に遭うとは」と声を詰まらせた。(奥田美奈子)

(2016年7月16日朝刊掲載)

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