×

ニュース

岩国の被爆者・新庄さん 基地軍人らと制作 平和公園訪問 ささげる

折り鶴の絆 日米つなぐ

 米海兵隊岩国基地(岩国市)の隊員たちと交流する岩国市の被爆者新庄菊子さん(89)が15日、軍人、軍属とその家族34人と広島市中区の平和記念公園を訪れ、一緒に作った折り鶴を原爆の子の像にささげた。基地で暮らす人に71年前の惨禍を想像してもらおうと初めて企画した。(永山啓一)

 原爆資料館を見学した後、原爆の子の像を訪れた新庄さんは、子どもたちの助けを借りて千羽の折り鶴を手向けた。3カ月前に米イリノイ州から来たという基地従業員の妻マリア・アブレシアさん(47)は「子どもや胎児もたくさん被爆し、今も多くの人が苦しんでいることを初めて知った」と話した。

 1945年8月6日、山口市の山口赤十字病院救護看護婦養成所で看護学生だった新庄さんは、搬送された被爆者を手当てし、救護被爆した。戦後、岩国市に移った。基地で生け花や田植えなど日本文化を教え、戦後70年の節目だった昨年からは折り鶴作りにも取り組む。「争いをなくすためには人間同士の交流が大切。多くの子どもが亡くなった原爆の事実を伝えたい」と願う。

 米国に原爆投下を正当化する意見が根強い中、新庄さんは、まだ自身の体験を隊員やその家族に話せていない。新庄さんは「広島に来た人なら、私の話を聞いてくれるかもしれない。折に触れて話したい」と思いを強くしていた。

(2016年7月16日朝刊掲載)

年別アーカイブ