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被爆死815人 遺族待つ 広島の原爆供養塔 遺骨の名簿掲示

 広島市中区の平和記念公園にある原爆供養塔に納められた遺骨のうち、名前が分かっていながら引き取り手のいない815人の名簿が15日、全国各地で張り出された。広島市が依頼し、10月末まで。2010年4月の1人を最後に遺族は見つかっておらず、市は連絡を待つ。

 市内では192カ所に掲示。中区の広島バスセンターでは、ターミナル課主任の浜本憲幸さん(30)がB1判1枚の名簿を出発ホーム入り口の掲示板に張った。「遺族を捜しています」との呼び掛け文の下に、原爆犠牲者の名前が五十音順に並び、当時の住所や年齢、勤め先を記す。

 浜本さんは「毎年見ては多くの犠牲者は遺族が見つかっていないと実感する。一人でも多く家族の元に帰られるよう願っている」と話した。

 市は1985年から全国に名簿を発送。ことしの送り先は自治体など1970団体で、うち240団体は初めて作った縮小版にした。「スペースを確保できない」との理由で掲示していなかったため。市原爆被害対策部調査課は「一つでも多くの自治体に協力してもらえれば」としている。(益田里穂)

(2016年7月16日朝刊掲載)

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