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原発再稼働急ぐ政府に「待った」 内部被曝の危険性訴え

 放射線による内部被曝(ひばく)の危険性を考える「市民と科学者の内部被曝問題研究会」が、ブックレット「内部被曝からいのちを守る」を発行した。原爆やチェルノブイリ原発事故の被害を踏まえ、福島第1原発事故後、国民を被曝から守る対応を十分しないまま原発再稼働を急ぐ国の政策に警鐘を鳴らしている。

 放射線の専門家や医師、福島の子どもを支援する市民たち31人が執筆した。同研究会理事長で、被爆者の沢田昭二名古屋大名誉教授(素粒子物理学)は、被爆者の脱毛や下痢など急性症状発症率を基にそれぞれの被曝線量を逆算した研究から、内部被曝の人体影響の大きさを強調。広島市立大広島平和研究所の高橋博子講師(歴史学)は、日本政府が「科学的」「健康に影響がない」とする被曝基準は「核兵器の非人道性を隠したい米政府の見解に基づいている」などと解説している。

 沢田理事長は「今も放射線量の高い地域に暮らし、被曝し続けている人たちがいる。実情を知り、命を守るために何ができるか考えてほしい」と話す。A5判、136ページ。1260円。旬報社。(森田裕美)

(2012年4月30日朝刊掲載)

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