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戦争の記憶 英語で伝える 比治山大生が体験記翻訳 31日披露

執筆者取材 表現に磨き

 広島県内の女性がつづった戦争体験記の英訳に比治山大(広島市東区)の学生が取り組んでいる。執筆を呼び掛けた市民団体「広島県の男女共同参画をすすめる会」が広島市中区で31日に開く体験記の発刊記念式典で英訳を披露する。(永山啓一)

 同会が「学生が戦争を学ぶ機会をつくり、世界中の人に体験記を読んでもらおう」と、佐々木淳教授(48)=対照言語学=に依頼。学生有志が6月下旬に翻訳を始めた。

 いずれも現代文化学部1年の河内日菜乃さん(19)=中区、坂下佳奈さん(19)=安芸区、斉藤麻里衣さん(18)=南区=が7月上旬、入市被爆者で、終戦時に7歳だった阿川真澄さん(78)=東区=から聞き取りをした。

 阿川さんは宮島口(現廿日市市)付近で目撃した原爆のきのこ雲の様子や、終戦1カ月後の枕崎台風での被災経験をつづった。「海岸に流された遺体を『丸太のように引き上げる』というのがイメージできない」「『少国民』の訳は戦争への協力が求められた子どもという意味を出さないといけない」…。阿川さんに向き合った学生は、手記の内容について質問したり、戦時下の暮らしに思いをはせたりした。

 体験記「被爆70年、戦後70年記念誌―昭和20年(1945年)の私」は3月に発刊。県内の女性42人が自身や親の体験を寄せた。31日午後1時半から中区富士見町のエソール広島で開く発刊記念式典では、手記の原文や英訳の朗読もある。

 河内さんは「文章を読むだけでは想像できない戦争体験が、話を聞いてはっきりしてきた。しっかり英語に訳したい」と力を込めた。

(2016年7月20日朝刊掲載)

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