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ドーム支える新旧鋼材 耐震補強工事を終え公開 広島市

 広島市は20日、初の耐震補強工事を終えた世界遺産の原爆ドーム(中区)の内部を中国新聞の取材に応じて公開した。

 被爆の惨禍を伝える外見を保ちつつ、震度6弱に耐え得る対策を内側に講じた。補強箇所はドームの3階部分に当たる北側2カ所と南側1カ所。過去の保存工事で設置していた高さ8~10メートルの鉄鋼製の支柱に新たな鋼材を継ぎ足し、11~15メートルの位置で内壁に固定した。この日、工事の全工程を終了した。

 通常は立ち入り禁止の敷地内からドーム内部を見ると、目立たないように茶色に塗られた鋼材が幾重にも交差し、赤褐色の壁を支えていた。

 市は1967年度、89年度、2002年度の計3回、保存工事をした。今回は13年度にした初の耐震診断の結果を受け、15年12月に着工。15年度末までに完了する予定だったが、前身の広島県産業奨励館の床が北側の支柱基礎付近で見つかり、ずれ込んだ。

 スペインから観光で訪れた会社員ダニ・ジメノさん(43)は「後世に残すために必要な工事だと思うし、外観への影響は気にならない。平和を訴え続けるヒロシマの姿だと思う」と話した。(和多正憲、森戸新士)

(2016年7月21日朝刊掲載)

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