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西区女性の控訴棄却 被爆者手帳の申請訴訟 広島高裁

 原爆投下時に爆心地から約2キロの広島駅(広島市南区)にいたのに、被爆者健康手帳の交付申請を却下されたのは不当として、広島市西区の女性が市の却下処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が20日、広島高裁であった。生野考司裁判長は「女性が原爆投下時に広島駅にいたことを認める証拠がない」として女性の訴えを退けた一審広島地裁の判断を支持し、控訴を棄却した。

 生野裁判長は、控訴審で女性が広島駅に向かう際に乗車した駅が「糸崎駅」から「尾道駅」に変更された点などを踏まえ、「女性の供述は大きな変遷があり、信用できないと言わざるを得ない」と指摘した。

 一審判決などによると、広島駅で被爆し手首や背中にけがをしたとして、女性は2009~13年に計3回、手帳交付を申請。市は「女性の話に確証が得られない」などとして申請を却下した。

 女性の代理人弁護士によると、女性は6月に84歳で亡くなった。(浜村満大)

(2016年7月21日朝刊掲載)

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