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チュニジア3氏 平和公園を訪問 民主化に貢献 ノーベル賞

 チュニジアの民主化に貢献し、「国民対話カルテット」として昨年のノーベル平和賞を受けた同国の民間3団体の代表が22日、広島市中区の平和記念公園を初めて訪れた。原爆の被害に触れ、非暴力による世界平和の実現を訴えた。

 労働総同盟のフサイン・アッバーシー事務総長、工業商業手工業連盟のウィダード・ブーシャマウィー会長、人権擁護連盟のアブデッサッタール・ベンムーサー会長の3氏。笹川平和財団(東京)の招きで、講演活動などのため17日に来日し、この日、広島入りした。

 3氏は原爆資料館を志賀賢治館長の案内で見学。被爆直後の市内の模型や佐々木禎子さんの折り鶴を熱心に見つめた。続いて原爆慰霊碑へ。花輪を手向けた後にコーランの一節を読み、祈った。広島国際会議場で被爆者の小倉桂子さん(78)=中区=の証言も聞いた。

 記者団に対し、アッバーシー氏は「ここで起きたことを知るだけではなく、二度と起こさないよう生かさなければならない」と強調。ブーシャマウィー氏は「こんな破壊はあってはならない」、ベンムーサー氏は「どのような理由があろうと暴力では何も解決しない」と述べた。

 カルテットは3団体と全国弁護士会が2013年に組織。11年に独裁政権が倒れ、イスラム政党と世俗政党の対立が深まる中で、新憲法制定や民主的な大統領選の実現に貢献した。弁護士会の代表は体調不良のため今回の来日を取りやめた。(長久豪佑)

(2016年7月23日朝刊掲載)

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