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萩原麻未「平和の夕べ」彩る 広響と来月5日 コンサート

「音楽の幸せ 共有を」

 広島市安佐南区出身のピアニスト萩原麻未が8月5日、広島市中区の広島国際会議場である広島交響楽団の「平和の夕べ」コンサート(中国新聞社など主催)に初めて出演する。以前から平和関連のイベントに積極的に参加してきた被爆3世の萩原。「音楽を通して平和への思いを共有できれば」と語る。(余村泰樹)

 母方の祖父母からあの日の体験を聞いて育ったという萩原。「できることは何でもしたい」と高い意識で演奏活動に取り組んできた。今回の出演に「うれしさよりも責任の大きさ」をかみしめる。

 2010年、日本人として初めてジュネーブ国際音楽コンクールピアノ部門で優勝した。その後、最初に協演した国内オーケストラが広響だ。母校である広島音楽高の恩師も多く所属し「雰囲気がすごく温かい。その空気に包まれ、音楽に集中できる」と厚い信頼を寄せる。

 今回は、スイス出身の巨匠マティアス・バーメルトの指揮で「大好きなコンチェルトの一つ」というシューマンのピアノ協奏曲を奏でる。「いい音楽には安らぎを感じ、心が癒やされる。聴いた後に前向きな気持ちになってもらえる演奏をしたい」

 8月22日には中区の原爆ドーム前で被爆ピアノを奏でる。広島県が中心となって開く「ピース・アーチ・ひろしま」レクイエム・コンサート。「緑に囲まれた中で音楽を楽しめることがいかに幸せか。それを当たり前と思わず、ずっと続けていくには何が必要かを考えるきっかけになれば」。被爆者の思いが宿るピアノに真摯(しんし)に向き合う。

 「平和の夕べ」コンサートは完売。レクイエム・コンサートは午後6時15分開演で無料。

(2016年7月23日朝刊掲載)

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