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島根原発 再稼働反対へ署名・集会 松江や広島などの団体

 全国の原子力発電所が全て停止した5日、中国地方では、中国電力島根原発がある松江市や広島市などで、再稼働に反対する団体による署名活動や集会が相次いだ。島根、鳥取県知事たちは、電力供給や安全性の確保を国に求めた。

 松江市の市民団体「さよなら島根原発ネットワーク」は、島根原発の廃炉や運転停止を求める署名をJR松江駅前で集めた。事務局の芦原康江さん(59)は「この日を心から喜びたい。島根原発の再稼働は許されない」。

 広島市では市民団体「福島の女たちに連帯する広島の女たち」のメンバー35人が、4月8日からリレー形式で続けた脱原発を訴えるハンガーストライキを終えた。続いて、中区の原爆ドーム前から中電本社まで約1・5キロを行進した。

 福山市でも、市民グループがJR福山駅前でチラシを配って脱原発をアピールした。

 中電が原発の建設を計画する山口県上関町。推進派の上関町まちづくり連絡協議会の顧問井上勝美さん(68)は全停止に一定の理解を示した上で「時間をかけて対策を練り、二度と事故が起きない原発を」と国に求めた。

 一方、上関原発を建てさせない祝島島民の会事務局次長の山戸孝さん(34)は「全停止は日本が脱原発に転換するスタート。新たなエネルギー政策についての議論を深める好機だ」と位置付ける。

 島根原発がある自治体や周辺の首長たちのコメントも相次いだ。

 松江市の松浦正敬市長は「原発の安全性、必要性について国民理解が得られていない現状で全停止は必然と考える」。隣接する鳥取県の平井伸治知事は「運転(再開)について政府は電力が足らないと脅すのではなく、地域の安全を第一に慎重な検討を」と指摘した。

 島根県の溝口善兵衛知事は「夏場に向け、国と電力各社は電力の安定供給に最大限の努力を」と求めた。(久保田剛、永里真弓、川上裕)

(2012年5月6日朝刊掲載)

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