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旧被服支廠 保存訴え 広島

 広島市中区の平和記念公園から、被爆建物の旧陸軍被服支廠(ししょう)(南区出汐)まで歩く「ピースウオーク」が、4日あった。広島高師(現広島大)付属中4年の時に旧被服支廠で被爆した中西巌さん(82)=呉市=たちが、建物の保存・活用を求めて初めて企画。市民ら45人が参加した。

 趣旨に賛同した広島のNPO法人、HPS国際ボランティアが「被服支廠について広く知ってもらおう」と主催した。

 参加者は、平和大通り沿いの慰霊碑など約10カ所を巡り、約2時間かけて旧被服支廠に着いた。原爆投下後に臨時救護所となり、大勢が亡くなった旧被服支廠では、臨時の祭壇にバラやユリを献花。被爆した負傷者に油を塗って手当てした中西さんからは、当時の様子を聴いた。

 参加したグラフィックデザイナー鬼原里沙さん(24)=南区=は「証言を聴いて『悲しい』と思うだけではなく、自分なりに周りの人に伝えたい。被服支廠を芸術発表の場とするなど活用策を考えてほしい」と話していた。(増田咲子)

(2012年5月8日朝刊掲載)

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