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因島空襲の犠牲者追悼 体験聞き記憶継承誓う 尾道

 71年前、2度の空襲を受けた尾道市因島で28日、犠牲者を追悼する集いが市民主催で開かれた。参列者は1945年3月19日と7月28日の空襲を体験した人から話を聞き、記憶の継承を誓った。

 集いは、同市因島土生町の土生公民館で開かれ、約30人が参加した。当時の日立造船因島工場に勤めていた星野正雄さん(89)=因島中庄町=が、7月の空襲時、山手から戦闘機が突然現れ、工場内を機銃掃射で攻撃した状況を地図で説明した。原形をとどめないほどつぶれた銃弾を見せながら、「防空壕(ごう)に爆弾が直撃し、多くの同僚が命を落とした。悲惨な光景が今でも目に浮かぶ」と話した。

 集いでは、因島と生口島の被爆者も弔った。6月末に解散した因島地区原爆被害者友の会の村上秀雄・元会長(89)=因島田熊町=が、入市被爆の体験を話し「戦争のむごさを若い世代に知ってほしい」と訴えた。

 因島空襲では、島内の軍需工場を米英軍の戦闘機が攻撃し、従業員や市民の命が奪われた。だが、公の資料ではほとんど触れられておらず、犠牲者数は分かっていない。(新山京子)

(2016年7月29日朝刊掲載)

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