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あの日に向き合う 広島各局8・6特番

 原爆投下から71年。広島県内の放送各局は、特別番組であの日に向き合う。米国の現職大統領が初めて広島を訪問した今年は、その意義や米国の意識の変化を検証する番組も目立つ。(余村泰樹)

■テレビ

 RCCテレビは8月6日午前10時40分から「8月6日の切符~あの日列車が走った」で、旧国鉄の列車に焦点を当てる。県北への避難に使った女性、被爆者救助に奮闘した国鉄マン…。列車が多くの命を救う一方、原爆の混乱を遠く離れた地に広げた事実を掘り起こす。

 NHK広島放送局は同日午後9時から「原爆投下 書き替えられた真実」を届ける。当時のトルーマン米大統領が明確な意志の下、決断したとされる原爆投下。実は軍主導だったという、米国の歴史家が指摘し始めた新たな見方を、元軍人の肉声テープなどから検証する。

 テレビ新広島は同日正午から「たしかに そこは町だった~広島平和公園の下に」を放送。原爆資料館(広島市中区)の敷地で進む発掘調査の出土品や被爆者の証言から、被爆前の中島地区の様子に迫る。県内随一の繁華街から人々の営みが一瞬で奪われた事実を浮かび上がらせる。

 広島テレビは7月30日深夜0時55分から「原爆開発の町はいま~オバマ訪問の波紋」で大統領の広島訪問後の米国を見る。翌31日深夜0時55分からの「知られざる被爆米兵~ヒロシマの墓標は語る」では、原爆で死亡したとされる米兵12人の足跡を追う。

 広島ホームテレビは「〝あの日〟は何を変えたのか?~被爆71年 アメリカの今」を制作。8月6日午前7時58分から放送する。オバマ氏の広島訪問を支えたホワイトハウス高官や同行案があった元米兵捕虜への取材から、演説の真意や米国の現在地を探る。

■ラジオ

 ラジオ局もさまざまな番組を企画する。RCCラジオは同日午前7時から「一文字弥太郎の週末ナチュラリスト朝ナマ~被爆71年 あなたがヒロシマを忘れるとき」と題し、詩人のアーサー・ビナードさんをゲストに4時間生放送する。

 NHKラジオ第1は、同日午後9時5分から「『あの日、母は少女だった』~被爆の記憶をたどる母と息子の対話」を放送。被爆体験を語り始めた大竹市の女性と、その事実を初めて正面から受け止めた息子を劇作家の高橋知伽江が取材。俳優の樹木希林と本木雅弘の親子が朗読を務める。

 広島エフエムは7日午後7時から「広島の復興を支えた音楽」で、戦後の希望を音楽に見いだした人々へのインタビューを紹介。原爆投下3カ月後に宇品(南区)の鉄道局講堂であったピアノ演奏会や、翌春に市内で響いた「未完成交響曲」などを取り上げる。

(2016年7月30日朝刊掲載)

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