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日米韓が北朝鮮を非難 NPT準備委 核兵器の完全放棄迫る

 (ウィーン発 田中美千子)2015年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けてオーストリア・ウィーンで開催中の第1回準備委員会で8日、日米韓3カ国が北朝鮮の核問題を取り上げた。北朝鮮による3度目の核実験の懸念が高まる中、北朝鮮の核開発計画を強く非難し、核兵器の完全放棄を迫った。

 ウィーン国際機関日本政府代表部の小沢俊朗大使は、北朝鮮の核開発計画を「NPT体制に対する重大な挑戦だ」と訴えた。さらに4月、人工衛星打ち上げと称する弾道ミサイルを発射したことを「地域の平和と安定を脅かす深刻な挑発」と主張。核とミサイルの問題解決に向けた具体的な行動を求めた。

 米国もミサイル発射を非難し、3度目の核実験をしないよう要求した。一方で、3月のオバマ大統領の金正恩(キムジョンウン)第1書記に向けた呼び掛けに言及し、「北朝鮮への敵意はない。国際社会と共存する道は開かれている」と関係改善の用意があることを表明した。

 韓国は、北朝鮮の核開発を「世界各国の深刻な脅威」と強調し、「挑戦的な行為は孤立を深めるだけだ」とけん制した。

原発安全対策に協力へ 日本 核テロ阻止で連携も

 ウィーンで開かれているNPT再検討会議の第1回準備委員会は9日、原子力の平和利用をテーマに議論した。日本は福島第1原発事故を教訓に、原子力施設の安全性を高める各国の取り組みに協力することを表明した。

 ウィーン国際機関日本政府代表部の小沢俊朗大使は「事故の教訓を国際社会と共有することが重要だ」と強調。原発を抱える国や新たに建設を計画する国に事故対応や安全強化策などの情報を提供するとした。核テロを阻止するため、各国が連携して核物質や原子力施設の防護を図る核セキュリティー強化の必要性も指摘した。

 また福島県で12月、国際原子力機関(IAEA)と「原子力安全に関する福島閣僚会議」を共催することも報告した。  各国の代表は福島第1原発事故後、原発の安全評価(ストレステスト)や検査結果の公表、原子力施設の規制機関創設といった取り組みを進めていることを発表した。

(2012年5月10日朝刊掲載)

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