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オバマ大統領の足跡 <4> 握手 被爆者と笑顔で会話 広島

 「われわれは人類という一つの家族の仲間」。原爆慰霊碑(広島市中区)近くでの17分間の演説で、オバマ米大統領は戦争のない理想の世界を語った。演説を終え、被爆者代表の席に歩み寄ると、柔和な笑顔をのぞかせた。

 最前列にいた日本被団協代表委員の坪井直さん(91)=西区=は、オバマ氏の差し出した右手を握ったまま約2分間、言葉を交わした。「恨みを乗り越え、人類のために共に頑張りましょう」。大統領演説と同じ「人類」という表現を使って核兵器廃絶への期待を伝え、広島への再訪も促した。

 坪井さんの言葉に幾度もうなずき、「サンキュー」とほほ笑み返したオバマ氏。あえて謝罪を求めなかった被爆者の慎みと度量の裏にある「心身の痛み」まで感じ取っただろうか。(写真・河合佑樹、文・馬場洋太)

(2016年7月30日朝刊掲載)

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