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脱原発・推進 主張食い違い 連合・原水禁国民会議・核禁会議

 原爆の日の直前に広島、長崎両市で核兵器廃絶を訴える平和大会について、共催する連合、原水禁国民会議、核禁会議が対応に苦慮している。福島第1原発事故を受け、「脱原発」と「原発推進」とで団体間の主張の違いが際立ってきたためだ。2005年から続く大会の開催へ成り行きが注目される。(岡田浩平)

 東京都内で先月19日にあった3団体の打ち合わせ。例年通り、核兵器廃絶と被爆者支援を大会の柱にする方針を決め、福島の事故については連合の古賀伸明会長が主催者あいさつで何らか触れる方向だけ確認した。

 もともと原水禁、核禁会議の原発に対する考え方は両極にあった。原水禁は「核と人類は共存できない」と脱原発を訴えてきた。一方、電力会社や製造業の労組が加盟する核禁会議は「原子力の平和利用」を主張する。これまでは核兵器廃絶で共闘。両団体に加盟する労組も含め、動員力のある連合を交えて大会を開いてきた。

 しかし、福島の事故後、原水禁は脱原発の運動を強化。昨年の平和大会では、川野浩一議長が原発を問題視する発言を重ね、他2団体から批判を受けた。対して、核禁会議は事故に触れないなど、ぎくしゃくした空気も生まれた。

 今大会に向け、核禁会議の鎌滝博雄専務理事は「大会で脱原発を求めるなら今後一緒に行動できない」とけん制。一方、原水禁の井上年弘事務局次長は「福島の事故に触れずに国民運動とはいえない。原発に依存しない社会を明確に求めるべきだ」と主張は折り合わない。

 まとめ役の連合は、平和運動で実績のある両団体との共闘関係は維持したい構え。昨年10月に「最終的に原子力に依存しない社会を目指す必要がある」と表明し、エネルギー政策の再構築を訴え、歩み寄りの余地を探る。連帯活動局の坂貴之局長は「核兵器廃絶の目的は同じ。3団体で今後も取り組めるよう議論を重ねたい」と強調する。

(2012年5月10日朝刊掲載)

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