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被爆者団体9割評価 オバマ氏の広島訪問 中国新聞社アンケート

 広島、長崎の被爆者たちでつくる日本被団協が8月10日に結成60年を迎えるのを前に、中国新聞社は、各都道府県と中国地方5県の各地域の被爆者団体にアンケートした。5月のオバマ米大統領の広島訪問について、回答した105団体のうち約9割に当たる94団体が「意味があった」と評価。原爆投下に対する謝罪は、必要と「思わない」が「思う」をやや上回った。(有岡英俊)

 被爆71年にして初めて米国の現職大統領が被爆地を訪れたことに、「とても意味があった」「まあまあ意味があった」としたのは各47団体で、89・5%が好意的に受け止めた。「意味がなかった」としたのは「あまり」「全く」を合わせ8・6%。「どちらとも言えない」は1・9%。

 訪問を評価した理由(複数回答)は「原爆慰霊碑に献花して犠牲者を追悼した」が75団体で最多。「被爆者と言葉を交わした」(44団体)▽「原爆資料館の展示を見た」(40団体)―と続いた。「意味がなかった」とした理由は「被爆者の証言を聞かなかった」が最も多かった。

 広島訪問では、原爆投下への謝罪問題が議論になった。米大統領が次回訪問時に謝罪すべきかどうか尋ねたところ、必要と「思わない」は36・2%で、「思う」は30・5%。ただ、「どちらとも言えない」も28・6%を占め、見解は割れた。必要と思わないとした団体の多くは「謝罪より核兵器廃絶の実現を」と説明した。

 アンケートは、各都道府県組織と中国5県内の地域組織の計122団体を対象に実施。計115団体が答えた。設問のうち、訪問の受け止め▽謝罪の必要性▽米国への感情―の3問については代表の被爆者に答えてもらい、計105団体が寄せた。

 日本被団協加盟の都道府県組織では、和歌山が昨年6月に活動を休止。奈良、滋賀は既にない。中国5県の地域組織では昨年11月に島根県吉賀町の団体が解散。ことしに入って尾道市因島、府中市、浜田市の各団体も解散した。

 ≪調査の方法≫6月中旬からアンケート用紙を持参や郵送で配布。返信が届いた後、電話でも担当者から聞き取った。都道府県組織は日本被団協を構成する43都道府県の全44団体から回答があった。オブザーバー参加の広島県被団協(佐久間邦彦理事長)と、県単位での活動がない山形県の「つるおか被爆者の会」(鶴岡市)を含む。1987年に脱会した徳島県は未回答。中国地方は5県組織が把握する地域の77団体を対象とし、71団体から協力を得た。

(2016年7月31日朝刊掲載)

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