×

社説・コラム

政界引退の江田五月元参院議長に聞く 政権交代の緊張感 必要

 政界を引退した江田五月元参院議長(75)が中国新聞のインタビューに応じた。通算37年間の国会議員生活を振り返り、2009年に誕生した民主党政権を「党の結束の弱さが瓦解(がかい)を招いた」と回顧。民進党に奮起を促し「政権交代があり得るという緊張感が民主主義を成熟させる」と語った。(清水大慈)

  ―議員生活で最も印象深い出来事は何ですか。
 参院議長として本格的な政権交代の成立を本会議場で宣言したことだ。顔は平然としていたが、心では大拍手をしていた。

  ―法相や環境相を務めた民主党政権の反省点は。
 いざというときに、それぞれの議員が理念や主張を曲げず一致結束を欠いた。決めたら従う姿勢で、もっと貪欲に政権を守るべきだった。苦い思い出だ。

  ―民進党や今後の政治に注文はありますか。
 再び政権交代が実現してほしい。日本人にとっての民主主義は外から与えられたもの。まだ身についていない。必ずしも民進党中心でなくてもいいが、政権交代の可能性があるという緊張感によって成熟させていかなければならない。

  ―憲法改正についての考えは。
 戦後、日本が平和に歩めたのは「良い憲法」を手にしたからだ。ただ今の憲法が百点満点ではない。時代の変化に合わせて変えるべきところは変え、良いものをさらに良くする議論はすればいい。安倍晋三首相は「今の憲法は悪いもの」という姿勢。そうした筋道での改憲には賛同できない。

  ―旧社会党書記長だった父三郎氏の急逝を受け、裁判官から転身されました。
 政治家はわが家でおやじだけでいいと思っていた。でも裁判官の仕事を経験した後、もう一つの人生を送ることができてよかった。法相時代の刑事司法改革では裁判官の経験が生きた。

  ―今後の活動は。
 会長を務める公益財団法人日中友好会館の活動を続け、青少年の交流を支援したい。拠点は岡山になるが、定期的に上京する。

(2016年7月31日朝刊掲載)

年別アーカイブ