×

連載・特集

オバマ大統領の足跡 <5> 原爆ドーム 核廃絶へ 再出発誓う

 オバマ米大統領の平和記念公園(広島市中区)での滞在時間は52分間。「原爆の子の像」の近くで原爆ドームを見詰め、帰路に就いた。随行した安倍晋三首相に「今日はあくまでスタート」と言い残した。

 2009年のプラハ演説で「核兵器なき世界」を掲げてから7年。広島での演説でオバマ氏は「1945年8月6日の朝の記憶を風化させてはならない」と強調した。「あの日」の記憶があれば、核兵器廃絶に向けた動きが停滞する現状に甘んじようとする心にあらがえる―。そんな思いがにじむ。核兵器なき世界への道筋を示せない自らを鼓舞しているようにも聞こえた。

 自身が掲げる理想へ再出発する転換点となるのか。あるいは、うたかたの夢を見せられたにすぎないのか。オバマ氏の広島訪問の意義は、これから定まる。(写真・河合佑樹、文・馬場洋太)=おわり

(2016年8月1日朝刊掲載)

年別アーカイブ