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被爆建物4割不具合 民間所有 工事費負担が課題 広島

 広島市が被爆建物として登録している民間施設の約4割に屋根の腐食などの不具合があることが、所有者を対象にした市のアンケートで分かった。老朽化が進み、工事費の負担が保存の課題になっている実態が浮き彫りになった。民間が所有する被爆建物の現状を本格的に調べたのは初めて。

 爆心地から半径5キロ以内にある市登録の被爆建物87施設のうち民間は66施設。市は1月、アンケート用紙を所有者に郵送し、5月末までに54施設(木造47施設、鉄筋など7施設)から回答を得た。

 不具合が「ある」としたのは、54施設のうち23施設(42・6%)。該当箇所(複数回答)は屋根が13施設で最多。床が10施設、壁が9施設で続いた。理由(同)は腐食が17施設で最も多く、瓦などの欠落が10施設、建物の傾きが8施設だった。回答者の半数近くが将来の雨漏りや倒壊を心配していた。

 保存上の課題は、35施設(64・8%)が工事費の負担を挙げた。今後の保存の意向を問うた項目では、44施設(81・5%)が「現状保存」とし、2施設(3・7%)は維持管理の難しさなどを理由に将来的な撤去を考えていた。

 市は被爆建物の保存へ、木造は3千万円、鉄筋など非木造は8千万円を上限に工事経費の全額を補助している。制度活用の課題や施設の現状を把握するため、今回詳しいアンケートをした。平和推進課は「結果を基に補助制度を再検証し、活用を促す新たな支援策も検討したい」としている。(水川恭輔)

(2016年8月2日朝刊掲載)

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