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旧日本兵の遺品 豪兵遺族が返還

 太平洋戦争で戦死した府中市上下町出身の旧日本兵の日記が、元オーストラリア兵の遺品から見つかった縁で、発見した遺族が10日、上下町を訪ねた。

 シドニーから約250キロのオレンジ市に住むリンディ・グローバーさん(64)。日記は1年半前、シドニー日本総領事館を通じ、持ち主だった故福品繁明さんの一人娘、延広百合恵さん(70)=福山市南松永町1丁目=に届いている。

 2人はこの日、上下町矢野の繁明さんの生家を訪問。繁明さんの弟の林辰幸さん(83)やおいの福品君朗さん(75)たちの歓迎を受けた。グローバーさんは「小さな日記のおかげ」。延広さんも「日記から故郷へ帰りたいという執念を感じた。父も喜んでいるでしょう」と感慨深げだった。

 繁明さんは戦艦扶桑の乗組員。日記は1942年12月から始まり、1歳だった延広さんと呉で過ごした日々や、艦内での訓練の様子、上陸地のニューギニアで激しい攻撃を受けたことなどが書かれ、43年3月26日で終わっている。

 オーストラリア兵だった義父の死後、グローバーさんが発見。2011年1月、68年ぶりに日本に戻った。延広さんは昨年9月にオーストラリアを訪れてグローバーさんと対面、交流が始まった。(大野達寛)

(2012年5月11日朝刊掲載)

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