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原爆の絵 基町高生が制作開始 あの日の記憶 アートで伝えたい 広島市中区

 広島市中区の基町高で1日、被爆者の証言を基に原爆投下前後の光景を描く「原爆の絵」の本年度の制作が始まった。創造表現コースの1、2年生18人が、市内の被爆者8人が見た18場面を約1年かけて完成させる。

 生徒は、被爆者7人を同校に招いて聞き取りを開始。その1人で中国新聞記者として原爆報道に当たった浅野温生(よしお)さん(84)=南区=は、広島二中(現観音高)2年生の時に見た原爆投下翌日から約10日間の様子を説明。生徒は、浅野さんに質問しながら熱心にメモを取っていた。

 1年の前田葉月さん(15)は「現実感がないほどあまりに悲惨な状況。しっかり聞いて多くの

人に伝わるような作品にしたい」と決意を語った。  生徒は今後、被爆者に何度も聞き取りし、作品を仕上げる。作品は被爆者の証言活動などに生かしてもらう。浅野さんは「あの日の記憶を形にしてくれる生徒に感謝したい」と話した。

 事業は広島平和文化センターが2007年度から同校に依頼し、10回目。これまで生徒87人が延べ46人の被爆者の証言を聞き、計98作品を描いた。(有岡英俊)

(2016年8月2日朝刊掲載)

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