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島根県被爆者協 50年の足跡 記念誌 来春の刊行目指す

 島根県原爆被爆者協議会(原美男会長)が、2013年の設立50周年に向け、これまでの活動をまとめた「県原爆被爆者協議会のあゆみ(仮題)」の編集を進めている。会員の高齢化が進む中、「今が活動の記録を残す最後の機会」として来春の完成を目指す。(明知隼二)

 記念誌は、1963年の協議会設立からの活動年表、被爆証言や原爆パネル展など伝承活動の記録など6部で構成。これまでにまとめていた会員の被爆体験記もあらためて整理し、資料編として併せて発行する。

 きっかけは、日本被団協(東京)が09年に発行した活動50年史だった。本編480ページのうち、県協議会の記述は1ページ余り。同会の原会長(84)=松江市玉湯町=は「会の活動を形に残さなくてはと思った」と振り返る。

 原会長は10年夏、歴代役員の遺族を訪ねて手記や関連資料を探すなどの調査を開始。現在は体制を強化し、全11支部の代表者たち14人で調査や原稿執筆を進めている。

 13年3月までに出版する計画で、県内の図書館への寄贈も検討する。原会長は「退職後まで被爆者ということを伏せ、何も語らず生きてきた。罪滅ぼしのつもりで、後世に記録を残す仕事をやり遂げたい」と話している。

 県内の被爆者数は3月末現在、1506人で、平均年齢は83・06歳と高齢化が進んでいる。

(2012年5月11日朝刊掲載)

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