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可能な限り保存活用へ 被爆建物のNTT西日本十日市ビル 新テナントの募集を開始

 NTT西日本(大阪市)は、広島市中区西十日市町で所有する被爆建物の「NTT西日本十日市ビル」を、可能な限り保存・活用する方針を決めた。市内にある所有ビル13棟について建て替えも含めて今後の計画を検討した結果、十日市ビルは歴史的な価値が大きいと判断した。耐震性も十分あるとして、新たなテナントの募集を始めた。

 ビルは爆心地から西1080メートルの場所にある。3階建ての鉄筋造りで、1937年に広島中央電話局西分局として建設。日本武道館(東京)などを手掛けた故山田守氏が設計した。広島支店が保管する資料によると、被爆で事務室の仕切り壁は全て吹き飛び、犠牲者が出た。

 これまで外壁や内装の改修を重ね、主にグループ会社が使用。被爆から70年以上がたつ中、建て替えも視野に入ってきた。昨年11月、NTT西日本が市内の所有ビルの今後について検討し、最も古い十日市ビルは「被爆した史実を鑑み保存、活用する」と決めた。

 これを受け、2014年7月から空いたままになっている1階のテナントスペース(236平方メートル)も、積極的に活用する。先月から、テナントの募集を始めた。コンビニや飲食店などの利用を想定する。

 広島市が登録している被爆建物は現在87件。そのうち、企業の所有は10件。いずれも老朽化が進み、どう保存、活用していくかが課題となっている。ビルを管理する広島支店(中区)は「ヒロシマの歴史を語る被爆建物として、維持管理ができる限り、使っていく」としている。(桑島美帆)

(2016年8月3日朝刊掲載)

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