×

ニュース

[オバマ米大統領を迎えた夏] 王朝の末裔 李公学ぶ 広島で集い

 朝鮮王朝の末裔(まつえい)で、広島で被爆死した李鍝公について学ぶ集いが2日、広島市中区であった。オバマ米大統領が5月に広島を訪れた際、演説で触れた朝鮮半島出身の犠牲者への理解を深めてもらおうと、市民団体「ヒロシマを語り継ぐ教師の会」が企画した。

 李公は朝鮮王朝最後の皇帝のおい。1945年4月に広島に置かれた第二総軍司令部に教育参謀として着任。司令部に向かう途中に被爆し、搬送された似島で翌8月7日に亡くなった。

 発表した比治山女子中高の元校長で、原爆被害を調べている梶山時彦さん(77)=南区=は、「お付き武官」だった日本人の吉成弘中佐らが李公を救おうと懸命に搬送方法を探した史実を解説。中佐は守り通せなかった責任を感じて自死したといい、「原爆が投下された時、ある韓国人と日本人との間にこんな事実があったことを広く知ってもらいたい」と語り掛けた。

 市民約20人が参加した。被爆死した米兵捕虜の研究を続け、オバマ氏の演説会場に招かれた歴史研究家の森重昭さん(79)=西区=も訪れ、「オバマ氏は国籍を超え、全ての犠牲者を追悼するために広島へ来たと演説した。その姿勢に学ぶことが今こそ大切だ」と話していた。(久保友美恵)

(2016年8月3日朝刊掲載)

年別アーカイブ