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中電の免許延長許可へ 上関原発埋め立て 山口県が最終調整

 中国電力が上関原発(山口県上関町)を建設するため山口県に申請した公有水面埋め立て免許の延長で、県が延長を許可する方向で最終調整していることが2日、分かった。中電は2012年10月以降、3度にわたり免許延長を申請。県はこのうち2度の申請について可否判断を先送りしていた。可否の判断をすれば、大きな転換となる。

 村岡嗣政知事が近く、中電が県へ提出した延長申請についての対応を表明する。ただし、県が延長を許可した場合でも、中電が中断している工事をすぐに再開する可能性は低いとの見方が出ている。一方で工事ができる状況が整えば、建設反対派が猛反発するのは必至の情勢だ。

 中電は計画で、同町長島の建設予定地約33万平方メートルのうち海上部分の約14万平方メートルを埋め立てる。公有水面埋立法に基づき08年10月、当時の二井関成知事から免許の交付を受け、09年10月から12年10月までの期間で工事に着手した。

 工事はその後、福島第1原発事故を受けて11年3月15日に中断。二井知事は12年6月、国のエネルギー政策における上関原発の位置付けが不透明として「延長申請があっても認められない」との考えを示した。中電は同10月、15年5月、ことし6月22日の計3度にわたって延長を申請し、現在は19年7月まで延長するよう求めている。

 中電が最初に延長申請した当時の故山本繁太郎知事は、前任の二井知事の方針を引き継ぐ方向で「不許可にすることになる」としていた。だが13年3月に方針転換し、可否判断を1年間程度先送りした。

 山本知事の病気退任を受けて14年2月に就任した村岡知事も、政府が上関を含む原発新増設の是非を明らかにしない中で、山本知事の方針を踏襲。中電に「国のエネルギー政策における(上関原発の)位置付けが変わらないと言えるだけの説明が尽くされていない」などとして、補足説明の提出を繰り返し求めていた。

(2016年8月3日朝刊掲載)

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