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一部存続や外壁保存案 旧理学部1号館 有識者懇の議論本格化 広島市中区

 広島大本部跡地(広島市中区東千田町)の被爆建物、旧理学部1号館の保存・活用を巡り、市の有識者懇談会の第2回会合が3日、同大東千田未来創生センターであった。委員12人が出席し、議論を本格化。建物の一部を存続する案に対し、劣化を理由に、外壁の一部保存やモニュメントにとどめるべきだという意見が複数の委員から出た。

 意見交換ではまず、地元住民らでつくる「広大本部跡地活用促進会」の弘法寛三会長が「E字形」の建物を「I字形」にして残すよう提案。若者が教養を学ぶ大学共通施設にし、空いた土地に順次、増築する構想も示した。

 一方、地元の大学副学長たちは、1931年築で、震度6強の地震で倒壊する危険性があるという市の耐震診断結果を重視。「全部保存は危険」「外壁の一部を残し、外観はデジタル画像で保存して再現できないか」などと主張した。

 日本被団協の坪井直代表委員は「ヒロシマを忘れてはいけん」と、被爆の実態を伝える建物の重要性を訴えた。

 次回の会合は未定。本年度末までに保存範囲や活用策の意見書をまとめ、市が来年度に事業を始める予定でいる。(和多正憲)

(2016年8月4日朝刊掲載)

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