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伊藤さん 命の尊さ訴え 松井市長を訪問 平和宣言に被爆体験

 広島市の松井一実市長が6日の平和記念式典で読み上げる平和宣言に被爆体験を引用される岩手県原爆被害者団体協議会会長の伊藤宣夫さん(88)が3日、市役所に松井市長を訪ねた。「あの日」の光景を説明し、平和の尊さを訴えた。

 伊藤さんは陸軍船舶司令部(暁部隊)に所属し、爆心地から4・2キロの宇品港(現南区)で被爆した。その夜に他の部隊と合流するため市中心部を通過。道路をふさぐおびただしい数の遺体を見たことなどの体験談を2年前に市へ寄せていた。

 平和宣言では「見渡す限り火の海の広島は生き地獄。これからの世界は、命を尊び、皆で助け合っていきましょう」というくだりが引かれる。市長との懇談で伊藤さんは「なぜ罪のない人がこんなに死んだんだとの思いで生きてきた。戦争はいけない」と語った。

 ことしの平和宣言には寺沢英子さん(89)=廿日市市=の体験談からも引用し、「次の世代の人々は、核兵器はいらないと叫んでください」との思いを紹介する。(有岡英俊)

(2016年8月4日朝刊掲載)

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