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原爆文献 受け入れ最多 広島市立中央図書館 昨年312点 被爆70年 

出版・復刊相次ぐ 展示ホールで企画展

 広島市立中央図書館(中区)が、昨年1年間に受け入れた原爆に関する本や雑誌などの資料は312点に上り、これまでで最も多かった。被爆70年を機に、原爆の惨状を伝える書籍の出版や復刊が相次いだことが背景にある。館内の展示ホールで、これまで収集した資料が概観できる企画展を開いている。

 同館には戦後間もなくから原爆関連の本が寄せられ、1961年には「広島資料室」を開設。本や雑誌のほか、新聞、パンフレット、自費出版の冊子など広島や長崎に関する資料を、購入や寄贈で収集してきた。貸し出しや保存のために複数受け入れた資料を含めると、計3万8271点(3月末時点)を所蔵している。

 年別では、被爆50年の節目に107点と一時的に増加。被爆60年には229点と再び増加し、その後10年は312~132点と収蔵数が急増している。

 企画展「原爆を伝える」では、写真や絵も含め計122点を展示。このうち、国泰寺高の文芸部が49年に編んだ文芸誌「紫雲」第2号は、作家原民喜のおい原邦彦さんの被爆体験を部員が小説化したとされる「ある悔恨」を掲載している。昨年秋に寄贈された。

 オバマ米大統領の広島訪問を報じた新聞紙面や関連書籍、被爆者の記憶に残る光景を絵画化する基町高の取り組みを紹介した本なども並ぶ。企画した井上藍学芸員(30)は「原爆について深く理解するために本が果たす役割は高まっている。実際に本を手に取るきっかけになれば」と話している。展示は31日まで。

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 企画展の関連行事として、「本を紹介しあう会」が20日午後2時から同館である。平和の大切さを伝える本を1冊ずつ持ち寄り、互いに紹介する。定員25人。16日までに同館に申し込む。Tel082(222)5542。(石井雄一)

(2016年8月4日朝刊掲載)

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