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[フロントライン備後] 福山の中高生 継承に力 戦後71年目の戦争体験学習

 戦後71年目の夏を迎え、平和について若者が学ぶ連続講座「ふくやまピース・ラボ」のメンバーなど、福山市内の中高生たちが戦争体験の学習や継承に力を入れている。ただ、被爆者団体の協力者に若者が増えないなど、全体の関心は高くない。戦争体験者が高齢化する中、若者の平和活動の裾野をどう広げるか、模索が続く。(高本友子)

 7月24日、ラボのメンバー8人が市人権平和資料館に集まった。「みんなが笑顔でいられる未来をつくりたい」「平和であることの大切さを訴えていく」などと思いを叫ぶ。8月8日、メンバー10人が市主催の原爆・戦災死没者慰霊式で、追悼の言葉を述べる。

 ラボは市が昨年度始め、現在は1、2期生合わせて中学1年~高校3年の14人が活動する。月1、2回同館に集まり、戦争体験者の話を聞いたり、福山海軍航空隊の朗読劇を作ったりしてきた。福山工業高2年の桑田衣里(えり)さん(17)は「過去の過ちを知り、今につなげるのは重要」とやりがいを語る。

同世代で意識差

 一方で、同世代との意識の差を感じるという。「ラボは意見を交換できるけど、学校では話を聞いて終わり」と城北中2年の三浦桃奈さん(13)。大門高1年の前田ほのかさん(16)は「そもそも興味がない人が多い。私たちが大人になった時、もう体験者の話は聞けないのに」と漏らす。

 今月16日午後3時には、同館で、中高生限定の原爆映画の上映会を開く。同館はラボの追加募集を今月31日まで受け付ける。田中淳雄副館長は「若者が主体的に平和について学ぶ場。一人でも増えてほしい」と話す。

参加者伸び悩む

 昨年発足した、市内の被爆者や被爆2世たちでつくる市原爆被害者友の会の活動に協力する若者「ピース・メイト(平和の仲間)」も、参加者数が伸び悩む。2年目から個人参加者は増えず、8人のままだ。

 昨年は、8月6日に会が主催する慰霊式典の手伝いや座談会で被爆者と交流した。福山平成大2年の箱田麻実さん(19)は「被爆者と一対一で話せるのは貴重。もっと増えてほしい」と話す。

 会は原因をPR不足と分析。藤井悟会長(69)は、ピース・メイトが被爆の実相を学べる講座などの試みが必要と感じる。「会員が高齢化し、運営が難しくなる中で、若者の協力は必要」と話している。

(2016年8月4日朝刊掲載)

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