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平和へ一歩 誓う71年 広島きょう原爆の日 死没者名簿 30万人超す

 広島は6日、原爆の日を迎えた。米国が人類史上初めて戦争で使った核兵器により、市民が殺され、町も壊滅した「あの日」から71年。原爆死没者名簿に記す名前はこの一年で5511人増えて30万3195人になり、初めて30万人を超えた。広島市は午前8時から、平和記念公園(中区)で市原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)を挙行。亡き人を悼み、平和で核兵器のない世界へ、行動を誓い合う日となる。

 オバマ米大統領が5月27日、現職として初めて広島を訪れ、被爆地への関心が高まる中で開かれる平和記念式典。参列予定の海外代表は91カ国で、被爆70年の昨年に次いで多い。米国は臨時代理大使が出席。他の核兵器保有五大国では英国、フランス、ロシアが出席。中国は欠席する。事実上の保有国のインド、パキスタン、イスラエルも参列する。一方、国内の遺族代表の出席予定は37都道府県で、過去最少となる。

 開式後、松井一実市長と遺族代表2人が、この一年に亡くなったことが確認された被爆者の名前を書き記した広島の原爆死没者名簿3冊を、原爆慰霊碑の石室に納める。昨年より2冊増え、「氏名不詳者多数」と記す1冊を含め111冊に。原爆投下時刻の8時15分に参列者全員で1分間黙とう。遺族代表の己斐東小教諭亀本宗祐さん(41)=西区=と、こども代表の観音小6年武田結衣さん(11)=同=が「平和の鐘」を打ち鳴らし、追悼する。

 松井市長は平和宣言で、オバマ氏のヒロシマ演説から「核を保有する国々は恐怖の論理から逃れ、核兵器のない世界を追求する勇気を持たなければならない」との一節を引いて、核兵器廃絶への行動を世界へ呼び掛ける。各国のリーダーには被爆地訪問を要請。核兵器禁止の法的枠組みをつくる必要性を強調する。

 こども代表の竹屋小6年中奥垂穂さん(11)=中区=と亀山小6年青木優太君(12)=安佐北区=が「平和への誓い」を発表。4年連続の出席となる安倍晋三首相らもあいさつする。

 厚生労働省によると、3月末時点で被爆者は17万4080人。平均年齢は80・86歳。(岡田浩平)

(2016年8月6日朝刊掲載)

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