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「愛と死の記録」 映画50年展 吉永さん主演 原爆資料館に脚本や取材ノート

 俳優の吉永小百合さんが主演し、被爆者の青年との純愛を描いた映画「愛と死の記録」(1966年)の公開50年を機に、原爆資料館(広島市中区)は5日、東館地下1階の情報資料室で、脚本など関連資料の展示を始めた。いずれも脚本を手掛けた小林吉男さん(89)=埼玉県川口市=から寄贈された。吉永さんのメッセージも飾っている。9月中旬まで。無料。

 映画は、4歳の時に被爆した男性が19年後に白血病で亡くなり、恋人の女性が後を追って自ら命を絶った実話を基にした。男性役は渡哲也さんが演じた。

 会場には脚本のほか、モデルとなった二人の友人たちへの取材ノート4冊、ロケハンで撮影した二人の思い出の喫茶店の写真など計15点が並ぶ。吉永さんは事務所を通じ「実際に広島で起きた悲劇は、撮影当時21歳だった私の胸に深く残りました」とのメッセージを寄せた。

 当時映画を見た西区の辻靖司さん(74)は「生きていたら男性は自分と同年代。資料から、二人の生きざまを淡々と伝えようとした熱意を感じる」と見入っていた。

 小林さんの家族が5月下旬、資料館への寄贈を持ち掛けた。次男のきよしさん(62)=千葉県我孫子市=は「父は戦争の矛盾や生きることへの問題提起がしたかった。その思いが多くの人に伝われば」と話している。(有岡英俊)

(2016年8月6日朝刊掲載)

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