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広島で被爆者救護手伝う 原爆手帳を21人申請

 原爆投下後、広島市安佐北区の狩小川(かこがわ)国民学校(現狩小川小)で大人に交じり被爆者の救護活動をした当時の5年生の男女21人が18日、広島市などへ被爆者健康手帳の交付を申請した。担任教諭たち当時を詳しく知る人が他界した中、互いが証人になって集団申請した。

 21人は現在77、78歳。現住所に基づき18人は広島市、2人は広島県、1人は長崎市に申請した。

 市が刊行した広島原爆戦災誌によると、同校は1945年8月6日から30日までに750人の被爆者を収容した。21人は8~17日の間に5日間以上、教諭の指示で登校し、被爆者に薬を塗ったり、水を飲ませたりするのを手伝ったという。

 救護活動した人への手帳交付をめぐっては厚生労働省が2010年2月、救護した人数などの要件を緩和。これを受け、申請を思い立ったという。

 南区の椎村繁則さん(77)は「以前は申請を考えたこともなかった。救護と言えるほどの手伝いはできていないとの思いがあった」と明かす。安芸区の廿日出(はつかで)富貴子さん(78)は「同級生が記憶を共有している今が申請の最後の機会」と話した。

 広島市によると交付要件の緩和以降、10人以上の集団申請は初めて。(田中美千子)

(2012年5月19日朝刊掲載)

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