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連載・特集

語り継ぐ廿日市 <下> 若者への橋渡し役 決意

事実知ることが大切自分なりに考えを

  廿日市市民4人による1945年8月6日の証言を収めたDVD「廿日市市から見た原爆の記憶」は、地元のコミュニティーFM「FMはつかいち」のパーソナリティー東園恵さん(23)がインタビュアーを務めた
 4人にはあの日の午前8時15分にいた場所に来てもらい、それぞれ取材した。つらい記憶を思い起こし、涙ぐむ人もいた。聞きにくい場面もあったが、次代へつなぐにはしっかり受け止めないといけないと質問を重ねた。

  生まれも育ちも廿日市
 小学校の平和学習では広島のことを学び、原爆は広島の出来事という勝手なイメージがあったが、証言を聞きそうではないと分かった。生まれる50年近く前のことだが、身近に感じることができた。中でも廿日市の小学校に救護所ができ、被爆者が「助けて」と声を上げていたとの証言に衝撃を受けた。想像するだけでも恐ろしい。

  収録は昨年7~9月。原爆の記憶を若者に伝える橋渡し役として協力を求められた
 これまで経験したことのない重いテーマ。話すのが嫌な人もいるだろうし、きちんと聞けるか不安もあった。だけど、若い人への継承という目的を聞き、私にできることがあればと引き受けた。

 だから若い人に見てもらいたい。証言の数々に、私と同じように驚くと思う。まずは事実を知ることが大切。そこから、自分なりに考えてほしい。

  制作への参加は貴重な体験だったと感じている
 当時を知る人と実際に話ができ、廿日市の8月6日を詳しく知ることができた。今後の仕事の中で子どもたちに伝える機会ができればと思う。将来、私に子どもが生まれれば、もちろん教えてあげたい。(山瀬隆弘)

(2016年8月6日朝刊掲載)

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