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被爆の記憶 どう継承 きょう原爆の日 高齢化 団体の解散相次ぐ 

2世に新たな動きも

 会員の高齢化に伴い、島根県内の被爆者団体の解散や活動休止が相次いでいる。被爆者の平均年齢は80代後半となり、組織運営の難しさは増す。一方で被爆2世の動きも出ている。記憶の継承の方策を模索しながら、6日、広島市への原爆投下から71年となる。(森田晃司、西村萌、江川裕介)

 被爆70年の昨年、中国新聞社が実施したアンケートで102人の会員がいた県原爆被爆者協議会浜田支部は、ことし3月末に解散。長年、支部長を務めた泉忠敬さんは7月、87歳で亡くなった。

 「浜田市内の被爆者の多くが90歳前後。病気の人も多い」と理事だった古原ユキエさん(91)。足が弱り、自身も出歩くのが難しくなったが、「何かあったら声を掛け合おうと言っている。手当の手続きなど、残った人でできる限りの世話をしたい」と前を向く。

 アンケート時、会員17人がいた吉賀町原爆被爆者友の会も昨年11月に解散。世話を続けてきた森脇琢男相談員が3月、84歳で亡くなった。県原爆被爆者協議会(原美男会長)によると、他にも県内組織の世話役と連絡が途絶え、活動休止状態のケースがあるという。

 原会長(89)は「来るべき時が来たと身につまされる思い。解散は責められないが、身近な人に語り継ぐなど、個人でできることをしてほしい」と話す。その上で「被爆者ゼロになった時も考えねばならない」とし、被爆2世の活動を歓迎する。

 約120人が加入する県被爆二世の会(松浦広昭会長)は、松江市学園南1丁目の北公園内にある原爆慰霊碑の清掃ボランティアを開始。10月12日の慰霊式に向け、月1回の活動を続ける。松浦会長(67)は「一人でも多くの人が入るよう呼び掛け、自分たちにできることを引き継いでいきたい」と話している。

(2016年8月6日朝刊掲載)

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