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被爆伝えた姿 市民熱演

 原爆投下直後、ニュースを口頭で伝えた子どもたちの姿を描いた故井上ひさしさんの朗読劇「少年口伝隊一九四五」を、広島市民でつくる実行委員会が18日夜、平和学習用に初めて上演した。修学旅行で訪れた横浜市の領家中3年の171人が、宿泊先の広島市中区の旅館で見入った。

 被爆体験記の朗読ボランティア富永芳美さん(61)=中区=たちの実行委が、学校の依頼を受けて準備。大学の演劇部やアマチュア劇団に声を掛け、大学生から40代までの9人が出演した。

 中国新聞社の逸話を基に、原爆に家族を奪われ、街角で記事を読み上げる「口伝隊」の少年3人が、放射線による急性症状や台風に襲われながら懸命に生きようとするストーリー。後半のヤマ場では3人の親代わりになった男性が「亡くなった広島の子のため、やらないといけないことが山ほどある」と主人公の少年に呼び掛けた。

 見ていた中井麻祐子さん(15)は「被爆後もしっかり生きる少年に心を動かされた。小さなことにくよくよしてはいられない」と拍手を送った。

 主人公を演じた広島市立大3年伊勢村拓朗さん(21)=安佐南区=は「つらく悲しい思いだけでなく、焼け野原でたくましく生きようとする少年を演じられた」と手応えを感じていた。(増田咲子)

(2012年5月21日朝刊掲載)

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