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「訪問したが行動ない」 広島で討論会、米教授が批判

 日米の核を巡る現状と進むべき道を考える「8・6ヒロシマ国際対話集会―反核の夕べ」が6日、広島市中区であった。米アメリカン大のピーター・カズニック教授(歴史学)たち4人が討論。5月のオバマ米大統領の広島訪問に関し「訪問自体は評価するが、核兵器削減の呼び掛けなどがなく、広島では何も行動をしなかった」と批判した。

 カズニック氏は米国で根強い原爆投下正当化論に反対の立場だが、オバマ氏のヒロシマ演説に苦言。「米国の核予算の削減にも踏み込まなかった」とし、「核兵器を近代化し、より使いやすくしようとしている」と主張した。

 集会は、核兵器廃絶を目指すヒロシマの会(HANWA)などの主催で、約120人が参加。登壇した森滝春子共同代表は、オバマ氏が安倍晋三首相と被爆地を訪れた点を挙げ「日米同盟を強化する舞台にされてしまった」と訴えた。

 京都橘大教授で原爆の図丸木美術館(埼玉県)の小寺隆幸理事長は「オバマ氏と安倍首相は未来志向で過去を水に流そうとしているが、過去をきちんと考えながら核のない世界を考えていくべきだ」と強調。共同通信の太田昌克編集委員は、オバマ氏の被爆地訪問に至ったプロセスを解説した。(渡辺裕明)

(2016年8月7日朝刊掲載)

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