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演説読み直し決意新た 米兵捕虜研究の森さん

平和は自らつくり出すもの

 被爆者で歴史研究家の森重昭さん(79)=広島市西区=が6日、中区にある被爆死した米兵捕虜を悼む銘板に向かい、5月のオバマ米大統領の広島訪問を報告した。「皆さんの無念の死を無駄にしないよう、オバマ大統領と同様に核廃絶にまい進します」。両手を合わせ、じっと目を閉じた。

 国民学校3年の時、爆心地から2・5キロの現西区で被爆。地元の被爆史を調べるうちに被爆米兵の存在を知り、会社勤めの傍ら捕虜の特定や遺族の掘り起こしに尽力してきた。1998年には、捕虜が収容されていた中国憲兵隊司令部のあった場所に私費で銘板を設置。2008年、捕虜12人が被爆死したとして本を出版した。

 「もう自分の役目は終わった」と思っていたが、米政府の招待で平和記念公園(中区)での「ヒロシマ演説」に臨席することになりオバマ氏に肩を抱かれた。一躍、時の人となり世界中から講演や取材の依頼が殺到した。体力的には厳しさも感じたが、「核なき世界を実現するため、大統領からもらったチャンス」と思い、可能な限り受けることにした。

 この日は午前4時に起きオバマ氏の過去の演説を読み直した。「平和は自分でつくり出すもの。私も歩み続けたい」(新谷枝里子)

(2016年8月7日朝刊掲載)

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