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語り継ぎ平和の糸口に 部隊壊滅の体験証言 元少年兵 高宮の浅原さん

 広島県安芸高田市高宮町の元中学校長浅原晃さん(89)は同町のたかみや人権会館で、少年兵だった18歳の時に爆心地から約800メートルで被爆し、部隊が壊滅状態の中で生き残った体験を語った。住民61人を前に「証言を語り継いで平和の糸口をつくってほしい」と訴えた。

 浅原さんは1945年6月、陸軍中部104部隊の歩兵第2中隊に配属。隊員150人と東練兵場(現広島市東区)での訓練に向かうため広島城横の兵舎を出発直後に原爆が投下された。

 電柱のおかげで直接、閃光(せんこう)を浴びず、一命を取り留めた。他の隊員の消息が不明の中、遺体処理に追われた。「広島城の堀に爆風で頭から沈んだ、黒焦げの両足を数え切れないほど見た。忘れられない」と振り返った。

 その後、脱毛と皮膚の炎症に悩まされたという浅原さんは「放射能はにおいも形もない。核廃絶の日を期待する」と強調した。

 地元の高宮郷土史会と同館が企画。同町の農業坂本芳彦さん(74)は「世界でテロが相次ぐ中、平和な社会を築くために必要なことを話し合っていきたい」と話していた。

(2016年8月7日朝刊掲載)

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