×

社説・コラム

『書評』 郷土の本 「世界の著名人が伝えていた ヒロシマからの言葉」 ヒロシマ訪問 著名人の言葉

 戦後に広島を訪れた海外の著名人28人が残した言葉を集めた「世界の著名人が伝えていた ヒロシマからの言葉」が刊行された。著者は福山市出身のフリーライター佐藤美由紀さん。ことし5月のオバマ米大統領のスピーチに至るまで、どんな人物がどんなメッセージを広島から発したのか、それぞれの時代背景やエピソードとともに紹介する。

 「ヒロシマは世界に光る平和の街になってください」は、1948年に広島を訪問したヘレン・ケラーの言葉。障害のため見ることも聞くこともできなかった彼女は、被爆者の顔に残るケロイドに手で触れて、原爆被害を理解しようとしたという。

 「私は『ヒロシマを学べ』と世界に訴える」は、インドのネール首相。57年、平和記念公園で「広島市民に贈る言葉」として約3万人を前に語り掛けた。このほかチェ・ゲバラ、ジャンポール・サルトル、マザー・テレサらの言葉が並ぶ。オバマ大統領のスピーチ全文の日本語訳も掲載する。

 著者は「言葉のひとつひとつが、歴史を変える力になっていく」と思いを込める。127ページ、1080円。双葉社。(上杉智己)

(2016年8月7日朝刊掲載)

年別アーカイブ