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「黒い雨」地域を議論  指定見直しへ再始動

 民主党の被爆者問題議員懇談会(会長・松野信夫参院議員)が22日、国会内であり、広島原爆で降った「黒い雨」被害の援護対象となる国の指定地域見直しについて議論を始めた。政権交代後ほとんど活動していなかったが、厚生労働省の検討会の論議が大詰めを迎える中で再始動。党の考えをまとめ、政府に働き掛ける。

 広島、長崎両県選出を中心に国会議員9人が出席。事務局長に橋本博明氏(広島3区)を選んだ。

 懇談会の議論は非公開。橋本氏によると、同省の担当者が、黒い雨を浴びたと証言する人たちは精神面の健康状態が悪い▽降雨域の確定は困難―などの検討会ワーキンググループ(WG)の分析結果を説明し、議員から基本的な質問が出たという。

 懇談会の開催は昨年2月以来。同省の黒い雨や原爆症認定制度の各検討会に並行して議論する予定だったが、直後の東日本大震災の発生や、役員の政務三役就任で開けず、休眠状態になっていた。

 黒い雨の指定地域を約6倍に広げるよう求める広島市などの「原爆体験者等健康意識調査報告」の問題提起を受けて始まった黒い雨の検討会。今月29日に第8回会議を開き、WGの結果を基に報告書をとりまとめる。その後、厚労省が拡大の是非を夏ごろをめどに判断する。

 橋本氏は「科学だけでは補えない部分を判断するのが政治の役割。党としての対応をまとめたい」と話している。原爆症認定制度の見直しについても議論する。(岡田浩平)

(2012年5月23日朝刊掲載)

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