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被爆木170本 樹勢を調査 広島市 保全へ14年ぶり

 広島市は8日、市に登録がある被爆樹木約170本の樹勢調査を始めた。被爆から71年が経過し、老化も目立つため、14年ぶりに調べる。樹木医の堀口力さん(71)=西区=が、病害・虫害の有無や生育環境を1本ずつ診断。本年度末までに「カルテ」を作り、保全につなげる。

 堀口さんは初日、爆心地から約740メートル北東の広島城跡(中区)にあるユーカリ、マルバヤナギ、クロガネモチの3本を診断。樹高や枝葉の密度、根元付近の土壌の硬さなどを測り、調査票に書き込んだ。ユーカリについては「周りの土壌が踏み固められている。軟らかくして水と空気の通りを良くする必要がある」と指摘した。

 市は1996年度から、原爆投下時に爆心地から約2キロ圏内にあった木を被爆樹木として登録している。市平和推進課は、樹木を管理する市内部の各担当課や国、県、約4割を占める民間の所有者に診断結果を伝える。

 市平和推進課は「衰弱が進んでいる市所有の木は早期に回復処置を施したい。国県や民間にはメンテナンスを働き掛けたい」としている。(水川恭輔)

(2016年8月9日朝刊掲載)

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