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漆喰でセシウム99%除去 近畿大工学部・森村元教授ら開発

 近畿大工学部(東広島市)の森村毅元教授(現非常勤講師)ら研究グループは23日、東京都内で会見し、水に溶けたセシウムを99%以上取り除ける新しい漆喰(しっくい)を開発したと発表した。東京電力福島第1原発事故の除染作業や、汚染されたがれきの保管にも活用が期待できるという。

 「ゼオCa漆喰」と名付けた。砂の代わりに吸着性の高いゼオライトを使い、カキ殻成分でつくったカルシウムイオン水、石灰と混ぜ合わせた。同大薬学部で検証の結果「ゼオCa漆喰」の板でセシウム水溶液をろ過すると、セシウムを99%以上除去できた。通常の漆喰と比べ強度、耐水性とも優れている。

 森村元教授は呉市内の建築会社と連携し、広島産カキの殻を活用した高強度の漆喰を2010年に開発。同社が建材として販売している。昨年10月、福島県内から「この漆喰でセシウムを取り除けないか」と問い合わせがあり、研究に着手した。

 「広島の大学に身を置く者として、なんとか福島の役に立ちたかった」と森村元教授。「自然素材を使っていて低コスト。汚染物質を封じ込めたり、減らす施設に応用できる可能性もある」と話しており、さらに研究を進める。(武河隆司)

(2012年5月24日朝刊掲載)

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