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岩国基地艦載機飛行 肩透かし 騒音「もっと大きい時も」

 「これまでの米軍機との違いを感じなかった」「これで試験飛行と言えるのか」―。岩国市の米海兵隊岩国基地への米空母艦載機移転計画に伴い、国が11日に実施した艦載機の試験飛行。岩国市街地や周辺部で目立った騒音は聞かれず、住民たちが移転後の実態を把握する機会にはならなかった。

 岩国市中心部の麻里布町。騒音の大きさを確かめるため、大型商業施設の屋上にいた主婦(46)=同市山手町=は「1機だけでスピードも遅く、従来と音は変わらなかった。実際には複数機が遠慮なく飛ぶようになるのでは」と不満を漏らした。

 基地近くの川下地区連合自治会の松本哲郎会長(73)は、滑走路北側の「みすみクリーンセンター」での視察に参加。「今回だけで騒音の影響は判断できない。これで試験を終えるなら納得し難い」と語気を強めた。

 「艦載機移転に向けたアリバイづくり。市民をばかにしている」と憤ったのは、移転に反対する「愛宕山を守る市民連絡協議会」の岡村寛世話人代表(72)=同市牛野谷町。今後、市に試験飛行の問題点などをただす考えだ。

 周辺部の住民や自治体関係者も、肩透かしを食った形だ。海水浴場がある潮風公園みなとオアシスゆう(同市由宇町)の管理スタッフ蔵重信一郎さん(68)=同町=は「平均週4日ぐらい米軍機が飛ぶのを見るが、もっと音が大きい時もある」と首をかしげた。

 米軍機とみられる騒音被害が相次ぐ柳井市では、職員が騒音を測定するため市内4カ所で待機。周防大島町の椎木巧町長は、町西部の文珠山の展望台で機影を待った。しかし、いずれの上空も試験飛行の対象にはならなかった。

(2016年8月12日朝刊掲載)

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