×

ニュース

遺族代表に小西さん(東広島) 終戦前日に父戦死 無念訴え 15日の全国戦没者追悼式

 終戦の日の15日、東広島市西条町郷曽の小西照枝さん(74)は、東京である政府主催の全国戦没者追悼式で全国の遺族代表として追悼の辞を述べる。戦死した父と残された母の思い出を語り、不戦を誓う。

 広島県賀茂郡郷田村(現東広島市西条町)で農業を営んでいた父の瀬川寿さんは1944年、旧陸軍に召集された。終戦前日の45年8月14日、フィリピンのルソン島で戦死した。36歳だった。

 「父が兵隊に出たとき、私は2歳だった。思い出はほとんどない」。小西さんは父の肖像画を見つめながら、そう静かに話した。母から聞いた話では、フィリピンにたつ前、佐賀で面会したのが最後となった。

 父は河原で幼い小西さんを抱きながら、母が持参したおむすびを食べた。その時「万が一のために」と託された頭髪と爪が、唯一の形見となった。

 終戦後しばらくの間、父の死は伝えられなかった。2年後にようやく、役場から通知が届いた。当時5歳に成長していた小西さんは「頭髪と爪が置かれた仏壇の前で泣く母の姿が忘れられない」と振り返る。

 追悼の辞を任され、家族と引き離されて亡くなった父をあらためて思いやる。「若い人に二度とそんな体験をしてほしくない」。決意を新たに式典に臨む。(森岡恭子)

(2016年8月13日朝刊掲載)

年別アーカイブ