×

ニュース

終戦前日の空襲 忘れぬ 山口

 終戦前日の1945年8月14日にあった米軍による岩国大空襲と旧光海軍工廠(こうしょう)(光市)の空襲による犠牲者の慰霊祭、追悼式が14日、岩国市と山口市であった。参加者は犠牲者の冥福を祈り、不戦を誓った。

岩国 遺族ら30人 不戦を誓う

 500人以上が亡くなったとされる岩国大空襲の戦没者慰霊祭は、岩国市の麻里布町第三街区公園であり、遺族たち約30人が集まった。

 空襲があった午前11時15分にサイレンが鳴ると、参列者は1分間黙とうした。麻里布地区自治会連合会の森口勝征会長(73)は「伝えるべき戦災の記憶が薄れていく中、平和に生きていくために何をするべきか、自らに問い掛ける必要がある」とあいさつ。参列者は公園内に設けられた祭壇に焼香した。

 空襲で義母、義姉、おいの3人を亡くした川元キクエさん(84)は「生きていたらもっと一緒に遊べたのにね。戦争なんて二度としたくない」と話していた。(藤田智)

旧光海軍工廠 同級生ら犠牲者悼む

 旧光海軍工廠の空襲で犠牲になった16人を含む旧制山口中の動員学徒の犠牲者18人を追悼する式典が山口市糸米の山口高であった。同空襲で犠牲になった53・54期の同級生や教員、卒業生たち約50人が参列した。

 旧制山口中53・54期同期会の伊藤健生会長(87)=同市湯田温泉=は「終戦があと1日早ければといつも思う」とあいさつ。昨年から式典の主催を引き継いだ同校同窓会に感謝の言葉を述べた。当時の校歌などを歌い、黙とう。「平和の母子像」に手を合わせた。

 同市駅通りの中村女子高はことしから学校主催の式典をやめ、個人の自由献花にした。犠牲となった前身の中村高等女学校33人の同級生たちが「純真の碑」に白菊を供えた。(佐藤正明)

(2016年8月15日朝刊掲載)

年別アーカイブ