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鐘の響きに平和誓う 周南・大津島/山口

「回天」の悲劇に思いはせ 周南・大津島

 終戦の日の15日、平和の鐘を鳴らすイベントが周南、山口両市であった。

 旧日本軍の特攻兵器「回天」の訓練基地の遺構がある周南市の大津島での「平和祈念の鐘」を鳴らす式典は、同市の徳山ユネスコ協会の呼び掛けで、親子連れたち約100人が参加。戦争で命を落とした若者たちに思いをはせた。

 同協会の原田茂会長(78)は、あいさつで「争いは人の心の中から生まれる、と胸に刻んでほしい」と訴えた。参加者は黙とうした後に鐘を突き、祈りをささげた。

 鐘には、1943年に岩国市柱島沖で爆沈した戦艦陸奥の砲身が鋳込まれている。初めて参加した、周南市の和田中3年原村百那さん(14)は「戦争だけでなく、身近な平和を実現するためにいじめや差別などについても考えたい」と話していた。(桑田勇樹)

サビエル聖堂包む祈り 山口 非暴力など胸に刻む

 山口市亀山町の山口サビエル記念聖堂では「大聖年平和の鐘」を鳴らす集いがあった。県青年ユネスコ連絡協議会などの主催で、市民たち約30人が参加した。

 有田幸永会長(30)は「(米大統領選候補の)トランプ氏の言動など、自国が良ければいいとするナショナリズムのまん延を感じる。世界のために平和の祈りをささげる」とあいさつ。李相源(イサンウォン)主任司祭(55)は「より良い環境を残すため、神、人、自然への感謝を大事にしよう」と呼び掛けた。

 参加者は「どんな暴力も許しません」などと誓いながら鐘を鳴らした。岩国市出身の会社員井上ひとみさん(45)=茨城県つくば市=の長男、中学2年遼(はるか)さん(13)は「戦争やいじめはなかなかなくならないが、平和を実現させるための足場になりたい」と祈っていた。(宮野史康)

(2016年8月16日朝刊掲載)

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